第14回 いつのまにか消えた、スタッフ...

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キーパーズ有限会社
代表取締役
宅地建物取引士
吉田太一 さん

2002年、日本初の遺品整理専門会社キーパーズを設立。年間1600件以上の遺品整理に携わるほか、スムーズな相続を実現するための不動産をはじめとした各種手続き、リサイクルなどあらゆる相談に応じている。さだまさし原作の映画「アントキノイノチ」のモデルとしても知られる。日本ペンクラブ会員。

 夏場はどうしても変死現場が多くなります。キーパーズには毎日のように死後数日経って発見されたというお部屋の依頼が入ります。この時期の現場はとても過酷ですので頑張っているスタッフには頭が下がります。

 昔、私がこの仕事を始めた頃、マンション1階の風呂場での首吊り自死現場のお話です。メンバーは4人、当日に限って他の現場が忙しく私の相棒たちは新人3名でした。故人は独居老人で、死後1ヶ月の発見です…。死後1ヶ月ともなるとぶら下がってはいません。ロープの下に、潰れるように落ちてしまっているのです。故人はお風呂を使っておらず、浴槽の中には沢山の荷物が詰まっていましたので、その荷物もドロドロになっていました。

 私は、躊躇するスタッフを引き連れて中に入りました。部屋の中にも死臭が漂っており、お風呂場に近づくにつれその臭いは強烈になってきました。スタッフの皆は、覚悟を決めたように見えたのですが…。「頑張ってくれよ。」「はい!」3人のスタッフは元気よく返事をしてくれました。それから一時間かけてなんとか荷物を全部運び出して、浴室内を全て洗い上げました。

 一息つき、一旦外に出ようとしたのですが。スタッフの数がどうも少ないのです。他のスタッフに聞いても分からないというのです。実は、知らないうちに1人いなくなっていたのです。トラックの助手席側のタイヤの横に、作業服が脱ぎ捨てられていました。私は、みんな明日から来なかったらどうしようと不安になりました…。作業後、最後まで頑張った2人のスタッフとジュースを飲みながら、労いの言葉を掛けました。「大変な現場だったけど、よく頑張ってくれたね。有難うな!」「でもこんな現場はもう来たくないか?」私は、皆がもう嫌だと言うのではないかと思っていたのですが…。一人のスタッフがこう言ってくれたのです!「初めは気持ち悪かったけれど、なかなか経験できるものでもないし、終った後の大家さんの顔を見ていると頑張ってよかったなと思いました。大丈夫ですよこれくらい!」私は、ほっとしました。

 誰もが顔を背け、身を引いてしまうような現場で、ダラダラと汗をかきながら黙々と作業をしているスタッフを見て、その物件のオーナー様にとってみれば頼もしく感じてくださったのでしょう。オーナー様から、スタッフへの労いの言葉をかけてもらえたことで使命感とやりがいを感じてくれたのでしょう。その後17年間、私の不安をよそに、現場から消えたスタッフは一人も出ていないのです。ほんとうに素晴らしいスタッフに恵まれて日々感謝です。

遺品整理や残置物の撤去

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