第6回 不動産神話の崩壊による価値観の変化

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キーパーズ有限会社
代表取締役
宅地建物取引士
吉田太一 さん

2002年、日本初の遺品整理専門会社キーパーズを設立。年間1600件以上の遺品整理に携わるほか、スムーズな相続を実現するための不動産をはじめとした各種手続き、リサイクルなどあらゆる相談に応じている。さだまさし原作の映画「アントキノイノチ」のモデルとしても知られる。日本ペンクラブ会員。

 私は遺品整理専門会社を営んでいく中で不動産の売却相談が増えたことによって、5年前から不動産業も始めております。その業務の中で驚いたことが、売れない負動産が大量に発生しているという現実でした。実家を売りたいとおっしゃる遺族は増える一方ですが、相談を受けている地方の実家の約50%が売れないのが現実なのです。

 先日も千葉県のある場所の実家を売って欲しいという依頼がありました。私が、ご住所をお聞きし調べたところ、駅からも遠く数件の民家が固まっているような集落の中の一軒家で地元以外の方が購入する可能性はほぼ無いだろうという場所です。築年数は50年は超えており家の価値はありませんので土地の値段しかありません。どう考えても買ってもらえるとしたら敷地が接しているおとなりさんしかありませんでした。しかし、おとなりさんは独居の80歳のおばあさんで、お話をすると「私の土地も息子がいらんと言っているんですよ、逆にうちの土地をもらってほしいくらいだわ」という答えでした。それを依頼者にお話しすると、初めは私が騙しているかのように全く信じてくれませんでした。しかし、少子化に伴い人口減少が始まり需要と供給のバランスが逆転したために、日本中で売れない"負動産"が大量に発生し、"空き家問題"がニュースで取沙汰されている現状を話すとやっと理解された事がありました。昔では考えられない話ですよね。まさしく不動産神話の崩壊です。

 さらに分譲マンションも供給過剰となり、旧いマンションや旧耐震のマンションは徐々に売れなくなっています。相続によって引き継いだマンションは戸建てに比べて先祖代々引き継いだものではありませんから、子や孫にしても比較的手放しやすいのですが、これが住むこともなく売れなくて貸せなくて抱えているだけとなると大変なことになります。戸建と違い、マンションには固定資産税以外に管理費や修繕積立費などのマンション全体の管理費用の負担金が有るからです。これによって、住んでも住まなくても固定資産税以外に年間20万〜30万程度の支払い義務が消えないのです。相続して自分の名前で登記されている以上、延々とそのお金を支払わなければいけないのです。もちろん、戸建てにもメンテナンス費用は掛かりますが、家を解体すれば土地の固定資産税だけでいいわけです。親が35年や40年間かけてローンを完済して子供のために残したマンションが、子供にとっては大きな借金を背負わされたようになってしまっているケースをたくさん見てきました。

 このような現実を考えると、空き家の増加がさらに進行し供給過剰となるのは必至で、昔のように不動産の価格の上昇が見込めないとなると、自己所有のメリットがなく賃貸住宅を選択する人が今後は増加すると考えられます。いま単身世帯の増加する中、収益物件としての不動産所有には意味がありますが、住宅の自己所有願望は減少していくでしょうね。

遺品整理や残置物の撤去

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