第12回 火葬は順番待ちなのに、閉鎖されていく火葬場

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キーパーズ有限会社
代表取締役
宅地建物取引士
吉田太一 さん

2002年、日本初の遺品整理専門会社キーパーズを設立。年間1600件以上の遺品整理に携わるほか、スムーズな相続を実現するための不動産をはじめとした各種手続き、リサイクルなどあらゆる相談に応じている。さだまさし原作の映画「アントキノイノチ」のモデルとしても知られる。日本ペンクラブ会員。

 普段は意識してないのでびっくりしたのですが、国内の火葬場は1996年には8481か所もあったそうですが、最近その数が激減し、20年間で4000か所以上の火葬場が閉鎖しているそうです。しかし、東京では火葬場の炉の数が足りなくて火葬してもらうのに一週間も待たされるのが現状なのです。現在、130万人を超えている死亡人口が今後150万人まで増加するというのに、少し矛盾しているような気がしますよね。

 火葬場と言っても火葬場として指定された野焼きに近い場所まで含んでいるようなので、皆さんが想像される立派な施設でないものも含まれているようですが、地方では過疎化が進み、町の住民しか使用しない火葬場は年に一度も使われないことがあるので、閉鎖されても仕方ないのはわかります。閉鎖後は自分の町で火葬できず、隣町に火葬してもらいに行かなくてはならなくなりますが、年間の維持管理費を考えると止むを得ないですね。

 死亡人口の集中する都会では逆に、火葬場が足りないのに住民の反対も多く、火葬場の跡地は再利用も難しいので新たに建てることもできないようです。このため首都圏では遺体の一時保管施設(遺体ホテル)が増えていて、だいたい一泊あたり1万2000円~2万2000円程度が相場のようです。腐乱が進まないように冷蔵室になっている場合が多く、ホテルと言うよりは冷蔵のカプセルホテルと言ったほうが良いのかもしれません。面会室などの用意もされていて、ゆっくり故人とのお別れができる施設だと言えますが、人生の最期の宿泊先が冷蔵のカプセルホテルと考えると少し寂しく感じますね。今後、火葬場が減少して死亡人口が増加することを考えると、このような施設もまだ増加すると考えられます。

 しかし、数十年後のことを考えると私は少し気が重くなります。人口バランスは常に変化しており、今後しばらく死亡人口は増加しますが、ある時期を境に高齢者が減少していきますので、おそらく30年ほどすると死亡人口は今よりも極端に減少しているはずです。その時には、火葬場だけでなくこのような遺体ホテルや、全国にたくさん建っている葬儀会館や斎場も稼働率が減ってしまい、閉鎖するところも激増するでしょう。そして、問題はそのような使用目的であった建物を再利用できる方法はあるのかということ。現在、全国で激増している空き家問題の解決策も見えていないのですから、おそらくそのまま空き物件となり放置されてしまうことになるのではないでしょうか。需要と供給のバランスで起こる空き家問題のような変化は止むを得ないのですが、このように用途によって半永遠的に価値が下がってしまうこともあるのが不動産なのですね。

遺品整理や残置物の撤去

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