第10回 両親の離婚で迷惑を被る子ども

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キーパーズ有限会社
代表取締役
宅地建物取引士
吉田太一 さん

2002年、日本初の遺品整理専門会社キーパーズを設立。年間1600件以上の遺品整理に携わるほか、スムーズな相続を実現するための不動産をはじめとした各種手続き、リサイクルなどあらゆる相談に応じている。さだまさし原作の映画「アントキノイノチ」のモデルとしても知られる。日本ペンクラブ会員。

 ある日、部下が出勤して来ないので、不審に思った上司が社員寮を訪ねて発見したのです。部屋には鍵が掛かっておらず、ドアを開けてみたら玄関の床から自分の目線までゴミで埋まっており、ビックリして腰を抜かしそうになったそうです。山のように積み上がったゴミの上を這うように入ってみると、部下が亡くなっていたのだそうです。しかし、よっぽどゴミ屋敷の印象が衝撃だったのでしょう。私への第一声は遺体発見の話ではなく、「あんなゴミ屋敷はじめて見ました…」でした。

 確かに、死後一日での発見ですから、腐乱することもなく死臭もないので、見つけた時は寝ているのか亡くなっているのかもわからない状態なので、そのような印象が残ったのも分かります。その後、警察が戸籍などから調べたところ、男性には娘さんがいることがわかりました。

 遺品整理の見積り当日には、上司の方と一緒に娘さんが遠方から立ち会いに来られていました。 娘さまは現在26歳で、6歳の時に両親が離婚し母親と他県に引っ越して暮らしていたそうです。「父親が出て行ってから20年間一度も会っていないんです。顔も覚えてなくて…、本当に今回亡くなった人が父親かどうかも分からないんです。警察から電話があって母に相談したのですが、母は離婚後に再婚しているので行く理由はないからと言われ、唯一の身内となる私が来るしかなかったんです…」。ゴミが山積みされているために見積り金額は30万ほどとなりました。その金額を見て、「えっ、そんなにかかるのですか…。私がこれを払わないといけないのですか?」と、娘さんはびっくりされていました。娘さんは、警察から突然掛ってきた電話で呼び出されて断ることもできず、右も左も分からない場所に出向き、ほとんど顔も覚えていない中年男性を父だと聞かされ、その人の死後の始末をさせられた訳です。

 悲壮な顔つきになった娘さんを見て、上司の方が「いえいえ、会社で借り上げている寮ですので、今回は会社で費用を負担します。形見や貴重品だけ持って行っていただければ大丈夫ですよ」と言われました。今回は正社員の方で、会社の寮だったため会社が負担してくれることになりましたが、正規雇用でない場合や自分で賃貸住宅を借りている場合などは、すべて遺族の負担となるのです。

 しかし、考えてみれば親の都合で離婚した結果、こんな負担が子どもに残るなんてなんか矛盾しています。もちろん相続放棄するという手段もありますが、いきなり警察から連絡がきて自分の親が亡くなったと聞かされて、「私は知りません。勝手にしてください。相続放棄します」なんて言える人はほとんどいませんよね。皆さんのお身内は大丈夫ですか?

遺品整理や残置物の撤去

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