第2回 簡単には片付けられない遺品整理現場

自由変更部分

キーパーズ有限会社
代表取締役
宅地建物取引士
吉田太一 さん

2002年、日本初の遺品整理専門会社キーパーズを設立。年間1600件以上の遺品整理に携わるほか、スムーズな相続を実現するための不動産をはじめとした各種手続き、リサイクルなどあらゆる相談に応じている。さだまさし原作の映画「アントキノイノチ」のモデルとしても知られる。日本ペンクラブ会員。

 ある夏の日、私は不動産会社の紹介で一軒のマンションへ見積りに伺いました。「キーパーズさん、困っているんですよ。助けてください」という依頼だったのです。故人は部屋で亡くなられていたわけではなく病院で亡くなったのですが、ご遺族が居るのに故人の火葬だけしてお骨も放棄し、遺品整理をせずに連絡が取れなくなったのだそうです。一般的には、相続権のあるご遺族が葬儀を行い、遺品整理も行うケースが多いのですが、未婚で子どものいないひとり住まいの高齢者が亡くなった時には、何十年もの間疎遠だったご遺族が関わりたくないので放置してしまうことも多いのです。相続人が、「相続放置」でなくちゃんと「相続放棄」の手続きでもしてくれれば、仮に遺品整理代金は大家さんの持ち出しになったとしても部屋を片付けて、新たに家賃収入を得ることができますが、相続人が相続放棄せず放置してしまった場合は、いくら大家さんでも勝手に遺品を片付けてしまうわけにはいかないのです。まさに今回のケースでも、相続権のある親族は火葬までは行ったけれど疎遠だったため、へんに関わりたくないので遺品の整理までは面倒を見られないといって連絡が取れなくなったそうです。

 では、実際にこんな事態に直面したらどうしたらいいのでしょうか。原則的には、まず裁判所に申し立てて相続財産管理人(弁護士など)を裁判所に指名してもらいます。そして、その相続財産管理人の判断によって、全ての財産を整理していくことになるのですが、そのための裁判所への預託金は、なんと100万円前後もかかるのです! 万が一、故人の財産がそれ以上ある場合は、財産管理人の判断によって返金してもらいますが、故人に財産がなければ、大家さんの持ち出しとなってしまうのです。ビックリですよね。

 今回は、さすがに大家さんも100万円は出すつもりもないので、1カ月間はご遺族に連絡を取る努力をして、全く返答がなければ大家さんの責任で片付けると結論を出されたのです。そして、作業前の室内画像をしっかり撮り、小銭や通帳、写真、腕時計、その他貴重品類は段ボール箱にまとめて3年間は保管しておくことにしたのです。ここまでしておけば、もしも後で相続人が名乗り出てきたとしても訴えられるどころか、逆に家賃の滞納分や遺品整理代金の支払いをこちらが訴えるつもりでいればいいのです。ただし、故人の財産が多かったり、高価なものが室内に沢山あるような部屋の場合は厄介なことになるかもしれないので、ちゃんと裁判所の手続きを行うようにしてくださいね。しかし、今回の不幸中の幸いは故人が部屋の中で亡くなっていなかったことでしょう。

 次回は、孤立死の現場についてお話しさせていただきます。

遺品整理や残置物の撤去

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